リトルなでしこ世界一

コスタリカで開催されたU-17女子W杯で、U-17日本代表(リトルなでしこ)が決勝でスペイン代表を2-0で下し、初優勝した。
素晴らしい快挙だ。
決勝戦を見た限りでは技術的には細かいミスも見られ、修正する部分もまだまだ多いが、世界一に輝いたことは理屈抜きに栄誉である。
おめでとう、リトルなでしこ。
おめでとう、高倉監督。

表彰式に感動のシーンがあった。

準優勝のスペインがロイヤルスタンドに上がって銀メダルを授与される時。
リトルなでしこ全員が階段の前で、スペイン選手の両側に並んで手のアーチのトンネルを作ったのだ。
卒業式で在校生が卒業生を送る時などによくやるアレである。
おそらくリトルなでしこ達がその場で思いつき、実行したのであろう。決勝戦を死力をつくして戦った相手に対する最大限の敬意を表したのだと思う。
いや、これが「感動のシーン」ではない。

試合終了直後、涙を流して悔しそうにしていたスペイン選手は、このリトルなでしこが作る「手のアーチ」の下をくぐらされた時、なにを思っただろう。
私だったら、屈辱と受け取ったかもしれない。

テレビを観ながら私は
「あんなことしなきゃぁいいのに」と、正直思った。

事実、スペイン選手全員が一人ひとり首に銀メダルをかけてもらったのだが、中には仏頂面をしてニコリともしない選手もいた。
彼女たちは悔しそうな表情を浮かべて、ピッチに戻った。

いよいよリトルなでしこが金メダルをもらう番だ。
階段を上がってロイヤルスタンドに進む。次々に金メダルをかけてもらった。
最後にキャプテンがトロフィーを受け取り、天に向かって高々と差し上げた。花火が上がり、紙ふぶきが舞い上がる派手な演出がなされた。

感動のシーンは、その後に訪れた。

なでしこが階段を降りて、ピッチに戻ったそのとき、
なんと、スペイン選手が両側に立って、拍手を送っていたのが、画面にチラリと映った。
アーチのお返しだ!と思った瞬間、現地からの中継が終わった。

ほんの一瞬だけだったから、見落した人も多いかもしれないが、私はしっかり見た。

スペインの選手は、心の底から悔しかっただろう。
自分たちの表彰は終わったのだから、もうロッカーに戻っていいのである。
日本が表彰され、歓喜に酔いしれて騒いでいる姿なんか見たくもないはずだ。

それを、ピッチから最後まで見届けたばかりでなく、階段下の両側に並んで拍手で迎えたのだ。

ゲームの内容が激しかっただけに、この拍手する姿に、思わず鼻の奥がツーンときた。
いいシーンを見せてもらった。
スペイン代表、ありがとう。君たちは素晴らしい。

やっぱりサッカーはいい、と思った。

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